用語解説
今までPCページのコンテンツをもとに検索順位を決定していたものを、スマートフォンページのコンテンツをもとに検索順位を決定する方針のこと。
■詳細説明
モバイルファーストインデックスとは
モバイルファーストインデックス(Mobile First Index、以下MFIと呼称)とは、PC版サイトではなく、モバイル版サイトを評価してサイトの検索順位を決定する、という方針や仕組みのことを指す。
Google※1のMFIへの移行
Googleは2016年からMFI登録の実験を開始し、元々は2020年9月にMFIへの強制移行を予定していたが、COVID-19の世界的な流行による影響を鑑み、実際には2021年3月にMFIへの強制移行が実施された。具体的には、PC版のみのサイトは2021年3月にGoogleのインデックスから削除され、2021年3月以降もインデックス登録されないこととなった。
SEO対策=Google対策と言われるように、検索エンジンのシェアはGoogleがトップであるため、GoogleのMFIへの強制移行に伴い、Webマスターは2021年3月までの対応を余儀なくされた。
GoogleがMFIへ移行した理由は、スマートフォンやタブレットの普及で、モバイル端末からのサイトへのアクセス数が、2015年頃を境に、PC端末のそれを上回ったことにある。モバイル版サイトのコンテンツがPC版サイトのコンテンツよりも少ない、等の場合に問題が発生することを懸念した結果だ。
MFI対応による検索順位
MFIはあくまでも、検索順位決定のための評価対象がPC版からモバイル版のサイトへ切り替わっただけであるため、適切にMFI対応が為されていれば検索順位への大きな影響はない。
MFIと関連付けて検索順位への影響を考えるのであれば、寧ろ重要となってくるのは、モバイル端末からのサイトへのアクセス数がPC端末よりも多い、というMFI移行の背景である。それを踏まえて、Googleは評価基準として、モバイル版サイトが「ユーザーフレンドリーであるか(=スマートフォンやタブレットなどのモバイル端末で閲覧しやすいか、操作しやすいか)」と「表示速度が速いか」を挙げており、それぞれを確認することのできるツールを公開している。(例えば、「mobile-friendly」※3、「testmysite」※4)
MFI対応とAMP対応
AMP(Accelerated Mobile Pages)とは、モバイル版サイトを高速に表示するための手法のことを指し、2015年10月にモバイルユーザーのユーザー体験向上を目的として、GoogleとTwitterが主導し、実現のためのオープンソースプロジェクトが立ち上がった。
モバイル版サイトの表示速度の高速化、という言葉からMFI対応との関連を想像してしまうかもしれないが、両者に直接の関係はなく、AMP対応とMFI対応は異なるものである。余談ではあるが、GoogleはサイトのAMP化を検索順位の評価基準に(まだ)していない。しかし、モバイル版サイトの表示速度は、既に述べたように、検索順位の評価基準のひとつであるため、サイトのAMP化は有効なSEO対策のひとつであると言える。
MFIの対応
基本的に、レスポンシブサイト(PCやスマートフォン、タブレットのデバイスに関係なく同じURL、かつそれぞれのデバイスの幅に合わせてコンテンツが表示されるサイト)や動的な配信を行っているサイトで、主要なコンテンツやマークアップがモバイル版とPC版で同一である場合は、何も変更する必要はない。反対に、主要なコンテンツやマークアップがモバイル版とPC版で異なるようなサイト設定になっている場合は、対応が必要となる。確認ポイントは以下である。詳細は、Google検索セントラル(Googleが開設した、SEOやサーチコンソールなどの情報を集約するサイト)のブログを確認するとよいだろう。
・Googlebot※2(世界中のサイトを巡回するGoogleのロボット)がモバイル版サイトのコンテンツとリソースにアクセスしてレンダリング(HTMLやJavaScriptを読み込んで実行し、サイトの「外観」を見ながら、より深くサイトを理解すること)ができること
・PC版とモバイル版のサイトに同じコンテンツが含まれていること
・サイトに構造化データ(HTMLへGoogle検索にとって意味のあるタグを付与したもの)がある場合、PC版とモバイル版の両方に適切な構造化データがあること
・PC版とモバイル版の両方で、メタデータ(文字コードやtitle、description等)が同じであること
・モバイル版サイトへ広告がある場合は「Better Ads Standards」に準拠していること
・モバイル版サイトについて、適切な形式やURLの画像、動画を使用していること
・PC版とモバイル版でサイトのURLが異なる場合、双方が同一のサイトであることがわかるようにアノテーションの設定が為されていること、等
注)
※1 Googleは、Google LLCの登録商標です。
※2 Googlebot は、Google のウェブクローラの総称です。通常、ウェブサイトは Googlebot Desktop と Googlebot Smartphone の両方でクロールされます。
※3 mobile-friendly は、2015年4月21日にGoogleが全世界で実装したアルゴリズムです。スマートフォンでの閲覧に適していないページの順位を引き下げる仕組みです。
※4 testmysiteは、Googleのモバイル向けページ表示速度のチェックツールです。
■関連記事
【1】Googleが検索アルゴリズムを変更(2021年5月)-コアウェブバイタル(Core Web Vitals)
https://bodais-datascientist.blogspot.com/2021/04/google20215core-web-vitals.html
Google PSI(PageSpeed Insights)を用いて対象となるモバイル版サイトに対して、「読み込みスピード」、「表示時間」、「レイアウトずれ」などに関する評価値を調べることができる。
赤枠で囲まれた3つの指標(LCP、FID、CLS)はコアウェブバイタルと呼ばれており、最もユーザー体験の優れたページが評価できるように、Google検索ランキングに組み込まれています。SEOの評価向上のため、この3要素を取り込んだ対応の必要性が考えられます。
関連キーワード
関連事例