用語解説
顧客体験プロセスを可視化した図である。作成することにより、特定の時間における顧客の製品やサービスに対する感想・行動等が把握することができたうえで、改善すべくポイントも見つけられる。
■詳細説明
カスタマージャーニーマップとは
カスタマージャーニーとは、顧客がある商品・サービスやブランドについて認知し、その後購入、そして再購入又は廃棄に至るまでの一連の流れのことを指す。より詳細には、カスタマージャーニーは「Ph1. 購入検討」「Ph2. 顧客獲得」「Ph3. 顧客育成」の3フェーズに分かれ、さらにそれぞれは次のような小フェーズを内包する。
Ph1. 購入検討 = 認知 → 興味関心 → 情報収集
Ph2. 顧客獲得 = 比較検討 → 購入 → 利用
Ph3. 顧客育成 = お問合せ → 拡散 → 再購入
それぞれの(小)フェーズごとに、タッチポイント(TVやSNS、店舗などでの顧客との情報接点)、想像される顧客の思考や感情とそれに伴う行動、考えられる課題や施策とKPIを踏まえて、カスタマージャーニーを時系列に可視化・図示したものをカスタマージャーニーマップと呼ぶ。
カスタマージャーニーマップの目的
カスタマージャーニーマップを作成する目的は、大きく次の3つとなる。
1. サービスの全体像について、関係者間で共通認識を持つこと
関係者間でサービスの全体像の共通認識を持つことで、施策の立案と検討において、矛盾のない意思決定とその高速化が図られる。
2. サービスが抱えている課題や問題点を洗い出すこと
フェーズごとに課題を明確化することはもちろん、各フェーズ間の接続に無理がないか等、全体を通しての課題の洗い出しも可能となる。
3. サービスをユーザー目線で見ること
フェーズごとに顧客の思考や感情を想像することで、ユーザー目線での課題の洗い出しや施策の立案が可能となる。
カスタマージャーニーとカスタマーエクスペリエンス
カスタマーエクスペリエンスとは、「顧客が商品やサービスを購入・利用する際、あるいは購入前後のプロセスにおいてブランドとの交流から受ける満足感や驚き、心地よさなど様々な心理的、感覚的な価値の蓄積」をいう。
より端的には、カスタマージャーニーにおける各(小)フェーズごとのタッチポイントで生じる「顧客の体験」のことである。
昨今は商品やサービスでの競合他社との差別化が難しくなっており、より良いカスタマージャーニーを設計し提供するには、カスタマーエクスペリエンスの最適化がより重要となる。
カスタマージャーニーマップの作り方と作成時の注意点
カスタマージャーニーマップは大きく次の手順で作成する。
① ペルソナ(ターゲット顧客像)の設定
ペルソナが曖昧だと、顧客の感情や行動を具体的に想像できず、課題が不明確化し、有効な施策を立案できないため、極力具体的なペルソナを設定することが重要である。しかし一方で、ペルソナを作りこみ過ぎてしまわぬよう注意も必要である。作りこんだペルソナは確かに顧客の感情や行動を高い精度で想像することが可能となるが、それは作成するカスタマージャーニーマップの対応する顧客セグメンテーションが細分化され小さくなっていることを意味し、マーケティング施策から期待する効果を得られない可能性がある。
② カスタマージャーニーの範囲の設定
カスタマージャーニーの範囲(フェーズの始まりと終わり)は、取り扱っている商品・サービス、プロジェクトや企業の方針によって変わる。例えば、既に成熟している商品であれば「認知」のフェーズはなく、「比較検討」などから始まるかもしれないし、もしくは新商品であるならばまずは「購入」や「利用」までを目的(終わり)とすることもあるだろう。
③ フェーズごとにタッチポイント、想像される顧客の思考・感情・行動の検討
顧客の思考・感情・行動に関する知見が不足していると、この行程はうまくいかず、後の工程(課題の明確化と施策検討、及びKPIの設定)にも影響を及ぼす。そのため、ユーザーインタビューやABテスト等から得られる定量的な結果などを通して、知見を深めていくことが重要である。
④ ③の検討結果を踏まえて課題の明確化と施策検討
⑤ フェーズごとのKPIの設定
カスタマージャーニーマップは、作って終わりではなく、KPIを設定し、実際に成果の向上・改善を行うことが重要である。
⑥ 定期的に作成したカスタマージャーニーマップを修正する
カスタマージャーニー分析とは
カスタマージャーニー分析は、先に述べたような、カスタマージャーニーマップを作成し、(小)フェーズやタッチポイントごとの顧客の感情や行動等を詳細に想像することを指すが、文脈やこれについて話す人の立場によっては、アトリビューション分析を意味する場合もある。
昨今は、社会の情報化に伴い、Webやモバイル端末、電子メールやSNSなど、タッチポイントが多様化している一方で、それらタッチポイントごとのマーケティング施策の効果等を測定することも可能となってきている。
アトリビューション分析とは、施策検討を行うにあたり、最終的なCV率の変化等だけに着目するのではなく、施策によるタッチポイントごとの貢献度なども評価、測定することを指す。例えば、動画広告の視聴有無によるCV率、平均購入単価、Webページの回遊率の違いなどを測定する。
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【1】カスタマーエクスペリエンスの最適化にデータはどのように活かされるべきか?
https://marketingblog.bodais.com/digital-marketing/27/#i-3
どんなマーケティング施策を行えば、効果的か?購入までのプロセスは明確か?具体的なターゲット像を掴んでいるか?などの課題を抱えている企業は少なくないでしょう。データマイニングの「クラスタリング」の手法を用いてペルソナの構築ができ、カスタマーエクスペリエンスの最適化によって購入までのステージを踏んで顧客像も把握することができる。さらに、どのようにクラスタリングを用いてデータを活かすかについても述べられている。
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